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懲戒処分の一つ「出勤停止」の活用方法

  • info134084
  • 2021年11月22日
  • 読了時間: 3分

更新日:2021年11月29日

■1 懲戒処分の出勤停止は一般的

普通のひな型であれば、就業規則の懲戒規定に「出勤停止」は記載されています。

記載されていない就業規則を、今のところ私は見たことがありません。

問題となるのは、何日間とするか、という点です。

現時点での私は、7労働日が良いと思っています。

出勤停止の長さに法的規制はありませんが、例えば最長3か月など、長すぎるのは問題ありだと考えています。


■2 長い期間の出勤停止の問題点

結論から申しますと、「御社の出勤停止規定は、労働契約の継続を前提としているから長くしているのでしょ」と裁判官から解釈されるリスクがあると私は考えます。

※順を追って処分すべきなので、より重い諭旨解雇や懲戒解雇処分の検討の妨げにもなると考えます。

「度重なる懲戒事由に該当する問題行為に対して、出勤停止を1か月、場合によっては3か月もの長期間実施し、無給にはなるけれど、その処分を優先し解雇(労働契約解消)はしない、という会社の考えなんでしょ」という解釈リスクです。

この場合、1週間以内の出勤停止を2回ぐらい重ねて、次の出勤停止に該当する問題行為で解雇するのは、私はかなりリスキーだと感じます。


■3 では短い出勤停止なら解雇しやすいのか?

少なくとも、上記のような非常に長い出勤停止規定のあるケースよりは、この点について解雇有効のハードルの高さは低いと思います。

出勤停止処分をうけるような問題行為を繰り返す従業員は、会社が雇用維持の最大限の努力をしても改善の余地がないのなら、解雇やむなしの判断(その前に必ず退職勧奨を検討)をせざるを得ません。

7労働日を上限にしておいて、複数回出勤停止処分をうけ、会社が教育指導を尽くしてもなお、問題行為を起こしてしまうなら、退職勧奨を検討したうえで解雇の勝負です。

ここで、やたらに長期間の出勤停止規定があると、なぜその長期間の出勤停止処分を経たうえでの解雇にしなかったのかと、私が裁判官なら指摘すると思います。


■4 ともあれ出勤停止の日数はほどほどに

私は7労働日で良いと思っていますが、14労働日ぐらいまでなら私的には許容範囲です。

一か月は長すぎると思います。


■5 では7労働日の出勤停止の活用方法は?

問題行為の内容にもよるのですが、けん責や減給(微々たる額です)では軽すぎる問題行為を行った場合でも、一律に7労働日の出勤停止とはせず、A事案では2労働日、次のB事案では3労働日、さらに三回目のC事案なら7労働日、そして会社が教育指導を尽くしたうえでの問題行為4回目なら、退職勧奨を実施し、承諾しない場合には最後の出勤停止7労働日とし、次は無いと本人に自覚させるのも、有効な活用方法の一つだと思います。


■6 出勤停止の注意点

減給と違い、出勤停止は労働日ベースで無給となりますので、7労働日の出勤停止は、1日の所定労働時間が8時間の場合、おおむね月の給料1/3が減ります。

ですので、経営者の皆様が思われるよりも、労働者側にはダメージがあり、問題行為に対する処分として出勤停止が重すぎる場合は、十分注意が必要です。

会社としては、再三にわたり注意指導を口頭でしてきたうえ(しかも何年も前から)での処分なので、出勤停止は当然だと思われるケースが多いですが、残念ながら過去の再三にわたる注意指導の証拠がなく、出勤停止した処分が懲戒権の乱用(重すぎる)と揉めることが多々あります。

ですので、日常からの注意指導は、とにかく記録に残しておいてください。

面倒なのですが、トラブルになったときに役立ちますし、退職勧奨する際にも、時系列でまとめた問題行為の事実と会社の注意指導を「文字」で、問題従業員に示すことができます。

いろんな機会に申し上げておりますが、やっぱり、「口頭より文字」です。

経験上、効き目は全く違います。

ともあれ、出勤停止については、その期間と運用には注意しながら、労務管理を行ってください。

 
 
 

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