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退職証明書の注意点と活用方法

更新日:2023年9月28日

■1 退職証明書とは?

実は、労基法に規定がありまして、ちょっと長いですが、条文をそのままご紹介します。

赤文字部分は、要注意点です。


<労働基準法第22条(退職時等の証明)>

 労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない
② 労働者が、第二十条第一項の解雇の予告がされた日から退職の日までの間において、当該解雇の理由について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。ただし、解雇の予告がされた日以後に労働者が当該解雇以外の事由により退職した場合においては、使用者は、当該退職の日以後、これを交付することを要しない。
③ 前二項の証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない
④ 使用者は、あらかじめ第三者と謀り、労働者の就業を妨げることを目的として、労働者の国籍、信条、社会的身分若しくは労働組合運動に関する通信をし、又は第一項及び第二項の証明書に秘密の記号を記入してはならない

■2 厚生労働省のモデルひな型

※ここでも赤文字部分は、要注意点です。

以下のとおり、厚生労働省ではひな型を公開しています。

退職事由に係るモデル退職証明書(出典:厚生労働省)

<ひな型記載の注意点抜粋>

※ 解雇された労働者が解雇の理由を請求しない場合には、⑦の「(別紙の理由による。)」を二重線で消し、別紙は交付しないこと。


ちなみに、改正労基法後でも、退職時の証明(労基法22条)の消滅時効期間は2年のままですので、退職した元労働者から退職証明書を求められときは、2年の時効は必ず確認をなさってください。

退職してから2年が過ぎているにもかかわらず発行を求めてくる元労働者がいるかもしれませんが、会社に法的義務はありませんしトラブルのもとにもなりかねませんので、お断りすべきです。


■3 採用する側の企業としての活用方法

この点は、結構効果的な面があります。

求人に応募してくれた方に対して、過去2年に遡って在籍していた全ての会社から、退職証明書を発行してもらうよう応募者に伝えます。

どのような項目を元の在籍企業に書いてもらうよう依頼してもらうかですが、下記の点は是非書いてもらいたいと考えています。


ほぼ労基法22条のままですが、同条では「賃金又は退職の事由(略)」とあり「又は」になっています。

しかし、「賃金及び退職の事由(略)」の解釈で問題ありません。

根拠は、厚生労働省労働基準局の労基法解釈本で、そのようになっているからです。

・使用期間

・業務の種類

・その事業における地位

・賃金

・退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む。)


繰り返しになりますが、雇用関係にあった労働者(時効にはご留意)から求めがある事項については、企業はそれに応じた退職証明書を遅滞なく発行しなければなりません。

一方、採用側の企業から見ますと、応募者の方に「過去2年以内の全ての会社から上記事項についての退職証明書を取り付けてください」と要請できるわけです。

あともう一言、必ず付け加えます。

「万が一解雇されたということがあれば、その事実と理由も必ず書いてもらうようにしてください」と。


普通の方で、一般的な退職理由であれば、何ら問題なく応じてくれるはずです。

しかし、何らかのトラブルなどで退職した場合、元在籍企業に対し、退職証明書の請求はしづらいはずです。

この段階で一定の見極めができるため、特に中途採用で管理職としての採用を検討している場合には、必ずと言っても過言ではないですが、退職証明書を取り付けていただきたいと思います。


■4 しかし退職証明書は万能ではない

※ここでも赤文字部分は、要注意点です。

何故かと申しますと、会社と揉めに揉めた労働者が話し合いで合意退職する際、退職合意書に「再就職に不利となるような事項は一切口外しない守秘義務条項」を設けるケースがあるからです。

※私は守秘義務条項を設けることが多いです。


当該元労働者が再就職活動のため退職証明書を求めてくるケースはあり得るお話で、退職証明書を発行しなければならない企業としては悩ましいと思います。

揉めに揉めて退職したとも書けませんし、かといって虚偽の内容を書くわけにもいきません。


もし元労働者から退職証明書を求められた場合、私までご相談ください。

書式についても、賃金などを記載できるようなものをご用意しております。

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